ダチョウと聞くと、どんなイメージが浮かびますか?
鳥に詳しい方なら、「頭が悪い」「飛べない」「足が速い」といったことを思いつくかもしれません。
一方、周囲の人々はどのように反応するでしょうか?
「ダチョウは何を食べるの?」「どのくらい記憶力があるの?」という質問に、多くの人は答えられないでしょう。
ダチョウは意外にもあまり知られていない鳥かもしれません。
実はダチョウは、古代から変わらぬ姿で生き続けてきたのです。
世界征服できるほどの力を持ちながら、どうして生き延びてきたのでしょう?
地味な存在であるが、その生命力の秘密を探ります!
ダチョウは何をどんな風に食べる?
ダチョウの主食は草です。
ダチョウは戦うよりも逃げることに長けており、その速さは時速70キロにも達します。
素早い足と優れた筋肉を持つダチョウが食べるのは、実はさほど特別なものではありません。
野生のダチョウは主に草を食べますが、時にはヘビの死骸や昆虫も食べたり、土を摂取したりもします。
ダチョウ研究の専門家である塚本康治氏によれば、ダチョウはマメ科の植物を好んで食べるそうです。
飼育されているダチョウは、主にもやしを食べ、1羽あたり1日に約4キロもの量を食べると言われています。
スーパーで販売されているもやし200gを換算すると、1日に20袋を消費する計算になります。
時には石も飲み込み、胃の中で食べ物をすりつぶすこともあるそうです。
ダチョウが食べ物を飲み込む姿
ダチョウが食べる様子はとても独特です。
ヘビが大きな固まりを飲み込む姿を見たことはありますか?
ダチョウも同様に、食道が膨らみ、食べたものが胃に落ちていく様子が外から見えます。
一般的な鳥は食道の途中にエサを一時的に溜める部分がありますが、ダチョウにはそれが発達していないため、食道は複雑に曲がっています。
何かを食べると、食道が膨らんで、食べ物が胃に運ばれていく様子が観察できます。
ダチョウってどんな鳥? 生態や性格を調査!
さて、ダチョウの生態について詳しく見ていきましょう。
ダチョウは地球上で最大の鳥類
ダチョウの体長は約2.5m、体重は最大で約160kgにもなります。
大きな羽を持ちながらも飛べないダチョウですが、その代わり非常に速い足を持っています。
最高時速は約70キロで、二足歩行する動物の中では最も速い記録を持っています。
ちなみに、2位は陸上競技のウサイン・ボルトで、彼の速さは時速45キロです。
また、ダチョウのキック力も非常に強力で、蹴られると大変危険です。
ダチョウは声が出ない
ダチョウは声を出すことができません。
鳥類は通常、気管の奥にある鳴管を使って声を出しますが、ダチョウにはそれが発達していません。
威嚇するときに口を開けると、かすれた音しか出せないのです。
ダチョウは鈍感で賢くない
ダチョウの群れは、同じ囲いにいるダチョウの数によって形成されます。
たとえば、5羽の場合は5羽で行動し、10羽の場合は10羽で動きます。
ダチョウはあまり賢くないと言われていますが、その理由の一つに、自分の家族が分からないことがあります。
驚くとパニックに陥り、走り出して家族がバラバラになることがあります。
その際、家族が入れ違いになっても、ダチョウはそれを認識できず、違う群れと暮らし始めることがあります。
また、気まぐれで、何も考えずにただ走りたいときに無目的に走り出すこともあります。
ダチョウが長く生き残ってきたのは、鈍感でストレスを感じにくいことや、速い足があるからです。
恐竜がいなくなったことで、捕食者が減り、ダチョウが生き残るための新しい環境が生まれたのかもしれません。
そして、静かに群れで行動するダチョウは、外見はおとなしそうに見えますが、実はいじめもあるんです。
体が大きいダチョウが小さいダチョウの毛をむしることがあります。
大きいダチョウは、小さいダチョウの尻に向かって首を伸ばし、毛をむしり取ります。
ダチョウの毛根はかなり大きく、毛をむしられると血が出ることもあります。
しかし、むしられたダチョウは何が起こったのか理解できず、平然としています。
時にはカラスが血だらけの皮膚をつつくのにも、平気でエサを食べています。
実際に動物園でじっくり観察してみると、ダチョウの面白さがわかるかもしれません。
ダチョウの不器用さについて
ダチョウは2メートルもの背がありながら、キリンのように高い場所の食べ物を簡単に取ることができません。これは彼らの不器用さの一例です。
エサや水は、ダチョウが口にできるように地面の近くに置かなければなりません。
食事の際には、首を下げてエサをつかみ、勢いよく首を伸ばして飲み込む必要があります。この行動を何度も繰り返さなければならないほど、彼らは不器用です。
長時間観察していると、「もっと簡単に食べられる方法はないのかな?」と思うこともあるでしょう。
ダチョウの脳の大きさ
ダチョウの目は非常に大きく、その大きな瞳は魅力的です。
長いまつ毛がさらに魅力を引き立てます。
ダチョウの眼球の直径は約5センチメートル、重さは60グラムにもなり、陸上動物の中で最大級の目です。視力も良く、10キロメートル先まで見ることができると言われています。
しかし、ダチョウの脳はその大きな目よりも小さく、重さは約40グラムで表面はほぼ滑らかです。
その大きな目でダチョウは何を見ているのでしょうか? 影に驚いて追いかけたり、木にぶつかったりするほど、臆病な性格があります。
ダチョウの目の甘さ
ダチョウの目にはもう一つ興味深い事実があります。
ダチョウの目玉は驚くほど甘いのです。
ダチョウ研究者である塚本氏は、偶然に死んだダチョウの目玉を舐めたところ、非常に甘いことを発見しました。
涙の成分を分析すると、ムコ多糖が非常に多いことがわかりました。これは、魚の煮凝りやツバメの巣にも含まれている成分です。
機会があれば、どんな味なのか試してみるのも面白いでしょう。
ダチョウの強力なキック力
ダチョウの足は、その巨大な体を支えるために非常に強力です。
見た目は恐竜を彷彿とさせ、一蹴りで約4トンの力があると言われています。
カンガルーのキック力も強力ですが、ダチョウはそれを上回ります。
その強力なキックを受けたら、とても危険です。
ダチョウの驚異的な免疫力
ダチョウの免疫力は、多くの研究者から注目されています。
抗体とは、体がウイルスなどの異物に対抗するために作る物質のことです。
ダチョウは、ウイルスなどの異物に対して多様な抗体を大量に作る能力を持っています。
鈍感な性格のダチョウですが、その驚異的な回復力には目を見張るものがあります。
ダチョウの卵の利用法
ダチョウの卵は非常に大きく、重さは1.5キロから2キロ以上にもなります。殻は3~4ミリの厚さがあり、非常に丈夫です。
ダチョウの体内に抗原(ウイルスなど)を注射し、抗体ができたら、卵に抗体を移して産卵します。
卵の黄身から抗体を分離・抽出する過程は約2日かかりますが、マウスやウサギを使った方法に比べて、ダチョウの卵からの抗体はコスト、時間、質すべてにおいて非常に有利です。
ダチョウは見た目は単純な動物かもしれませんが、実は私たちにとって大きな役割を果たしているのです。
まとめ
ダチョウの独特な生態や生存戦略に光を当てています。2メートルの背丈があるにも関わらず、高い場所から食事をするのが苦手なダチョウは、草を主食としています。
その大きな目は視力が良いものの、小さい脳のため影に驚きやすい一面も。意外にも目玉は甘く、強力なキック力と抗体生成能力を持ち合わせています。
これらの特徴が、ダチョウが長年にわたり生き残ることができた秘密と言えるでしょう。